こちらの商品の価格はお電話またはメールにてお問い合わせ下さい
脇差し (葵紋)肥後大掾藤原越前康継(初代)
(ひごだいじょうふじわらえちぜんやすつぐ)
Wakizashi:Higodaijo Fujiwara Echizen Yasutsugu
新刀・越前 江戸初期
重要美術品(昭和二十三年四月二十七日認定)
『康継大鑑』及び『日本刀大鑑(新刀編二)』並びにその他多数に所載
探山先生鞘書き有り
刃長:30.9(一尺二分) 反り:僅か 元幅:3.00 元重ね:0.54 穴1
平造り、三ッ棟尋常。 鍛え、板目に杢目を交えて良く詰み、地色やや黒み勝ち、地沸厚く付き、地景繁く入り、地鉄精良。 刃文、湾れに互の目交じりで、刃縁良く沸付いて匂い深く明るく冴え、刃中小足、葉入り、金筋、砂流し掛かる。 帽子、湾れ調で先尖り心に僅かに掃き掛け返る。 茎生ぶ、先剣形、鑢筋違い。 銅に金着せ二重ハバキ。 時代最上研磨。 白鞘入り。
【コメント】
初代越前康継の重要美術品、勇壮な慶長新刀姿の平脇差し、将軍家御用鍛冶職を務めた名門の棟梁が、その高い技量を示した傑作、『康継大鑑』及び『日本刀大鑑(新刀編二)』並びにその他多数に所載の名品です。
康継一門は、徳川将軍家の抱え鍛冶であり、当時の刀鍛冶としては、最高の地位にあった名門です。三代目継承の際に、江戸と越前に別れ、両家とも幕末まで抱え鍛冶として御用を勤め上げました。
初代康継は、下坂市左衛門と言い、美濃赤坂千手院の末裔として、近江国坂田郡下坂村で生まれました。文禄年間に『肥後大掾』を受領、『肥後大掾藤原下坂』と銘しています。その後、慶長初年頃に、越前一乗谷北の庄に移住しますが、慶長五年、『関ヶ原の戦い』の後に、徳川家康の次男、松平(結城)秀康が、越前北ノ庄藩初代藩主になると、康継は、秀康の命により、越前松平家の抱え鍛冶となりました。慶長十~十二年頃、徳川家重臣、本多飛騨守成重の推挙により、家康、秀忠両将軍に召し出され、江戸に於いて鍛刀、その技術を認められた康継は、家康より『康』の字を賜り、『康継』と改め、茎に『葵紋』を切ることを許されました。以後将軍家御用鍛冶職として、原則、隔年で越前と江戸で鍛刀、江戸打ちは『於武州江戸越前康継』、越前打ちは『越前国住康継』などと銘じます。元和七年没。
作風は、直湾れ調に互の目を交えたものを基本とし、中には沸出来の大乱れ、大互の目乱れ、直刃ほつれ、皆焼等もあります。また写し物も得意で、相州正宗、貞宗、三条宗近、粟田口吉光等の写しが残されており、特に『獅子貞宗』、『梅竹貞宗』、『切刃貞宗』、『あたき貞宗』等の号で呼ばれる『貞宗写し』が有名です。
本作は、『(葵紋)肥後大掾藤原越前康継』銘の平脇差し、昭和二十三年四月二十七日、重要美術品に認定された同工傑出の一振り、登録証は、昭和二十六年三月十五日の神奈川県登録です。
重要美術品とは、昭和八年(一九三三)に制定された『重要美術品等の保存に関する法律』により認定された古美術品のことで、旧国宝保存法では、保護の対象となっていなかった日本の古美術品(歴史上又は美術上、特に重要な価値があると認められた物件)を保護し、海外流出等を防止する目的です。
この法律は、昭和二十五年(一九五〇)八月、『文化財保護法』施行に伴い廃止されましたが、それまでに重要美術品に認定されていた物品に付いては、重要文化財の指定を受けるか、あるいは海外輸出が許可されるか(重要美術品取消し)のいずれかに該当するまで、その効力は有効です。
因みに康継の認定数は、十五口(刀は十一口)、これは新刀鍛冶では最多、次いで堀川国廣十二、長曽祢乕徹十、南紀重国及び越前守助廣八、肥前忠吉七、繁慶六、埋忠明寿及び井上真改五口と続きます。
寸法一尺二分、三つ棟、身幅広い勇壮な慶長新刀姿を示しており、茎も生ぶで穴一つです。
本作の如く、『肥後大掾』を冠した康継銘は僅少で、康継大鑑等によると、『康継へ改銘後の短期間のみ使用したものであろう。』とあります。
年紀はないものの、前述した改銘時期からして、慶長十三年頃の作と思われます。
板目に杢目を交えて良く詰んだ精良な地鉄は、地色やや黒み勝ち、地景繁く入り、湾れに互の目交じりの刃文は、刃縁良く沸付いて匂い深く明るく冴え、刃中小足、葉入り、金筋、砂流し掛かる出来で、更に最上研磨が掛かっていますので、地刃の美点が存分に示されています。
また本刀は、『康継大鑑』及び『日本刀大鑑(新刀編二)』所載品で、その他に『日本刀の近代的研究』、『新刀鍛冶綱領図録』、『刀剣銘大集』、『新版日本刀講座』、『刀影摘録』等々、多数の刀剣関連書籍に所載されている大変有名な一振りです。
新刀の重要美術品は、レベルが違います。現在の日刀保の水準で言えば、間違いなく特別重要刀剣レベル、同工の短刀、脇差し部門としては、最高傑作と言っても過言ではないでしょう。
重要美術品は、今後増えることはありません。今現存しているものが全て、それ故に重要美術品を所持することは一つのロマンです。
初代越前康継、将軍家御用鍛冶職の名に恥じぬ面目躍如たる一振り、貴重な銘振りの素晴らしい康継の登場です。
これは強くお薦め致します。
こちらの商品の価格はお電話またはメールにてお問い合わせ下さい