小柄:孟宗図
銘・三つ興彫鐫
Kozuka:Moso Zu
江戸後期
特別保存刀装具鑑定書付き
長さ97.1mm 幅14.6mm
【コメント】
四分一研磨地 片切毛彫 象嵌
鬼才大月光興の小柄です。
光興は、大月家に伝わった作風にあきたらず、下絵を研究し、奇抜な図を高彫や片切彫で表し、独自の世界観を形成してゆきます。初めは奇をてらった感が否めないものの、次第に禅味を帯びた作に変化してゆき、人の心をゆさぶり余韻を残すような作品を生み出し、幕末の金工界に多大な影響を与えました。
どの作も見事な構図と無駄ない彫口を見せ、片切彫や高彫、毛彫を使い分け、躍動感や心揺さぶる描写で、見るものを引き付けて止みません。
この小さな小柄の中にも、一本の線の無駄もなく、正に感動ものです。
落とし桐箱入り