鍔:竹生島透図
Tsuba:Chikubushima Sukashi Zu
江戸中期 尾張
無銘柳生として特別保存刀装具鑑定書付き
縦64.3mm 横59.4mm 厚6.1mm 重96g
【コメント】
鉄地隅切角形 薄肉彫 地透 角耳
尾張柳生家の柳生厳包・連也が柳生兵法の寓意の意匠を尾張鍔工の尾張、大野、桜山吉、戸田彦衛門等に制作させた鍔が柳生鍔と言われています。
柳生鍔は、高尚で品格ある洗練された作というよりも、兵法鍛錬の心得、剣の極意というものを思索させる作であったと想像され、一種独特な風格を漂わせています。
この鍔は、謡曲竹生島に由来する「波兎」の図、勢いよく波の上を跳ねる兎は飛躍の象徴として江戸前期に人気を博し、柳生の意匠に多く用いられている波と合わせて制作されたものと思われます。
やや小ぶりで、厚手、やや潤いのない柳生独特で頑強な鉄地、柾目の線状鉄骨の見られる角耳、正に柳生の典型作です。
尾張二代藩主、徳川光友に柳生新陰流を伝授し、藩指南役を務め、尾張の麒麟児とうたわれた厳包の兵法の極意をこの鍔は伝えています。
黒檀専用鍔箱入り