二所:果実の図
小柄 銘・宝斉作
笄 銘・文龍舎主人
Futatokoro:Kajitsu no Zu
江戸末期
特別保存刀装具鑑定書付き
笄:長さ215mm 幅12.6mm
小柄:長さ97mm 幅14.7mm
【コメント】
赤銅魚子地 金紋
宝斉作、文龍舎主人と銘された、川原林秀興の二所です。
秀興は、天明八年(1788)生まれ、大月光興の門人で、秀興の門人には松尾月山、篠山篤興、天光堂秀国がおり、秀興の長女は篤興に次女は秀国にそれぞれに嫁しています。
京都の金工中、屈指の名工揃いは大月一門です。絵画や禅を学んだ光興は、人目を驚かすほどの奇抜瓢逸な作を残し、その弟子秀興は俳諧の宗匠の後大月の門に入った風流人です。光興は、その技法、作風を秀興、応起に伝え、またその弟子篤興、秀国、月山と精巧な彫技と構図の見事さは受け継がれ、一世を風靡しています。
この二所も、ただ何気なく置かれた金の果物と絶妙なバランスの削継による赤銅の黒と金の対比の華麗さ、大月一門ならではの粋な美しさを感じないではいられません。
幕末の大月一門の名工秀興の二所、ほぼ傷みなく美しく貴重です。
専用落とし桐箱入り