短刀 備前国長船住重真
(びぜんのくにおさふねじゅうしげざね)
正中□年十月日(一三二四~二六)
Tanto:Bizennokuni Osafuneju Shigezane
古刀・備前 鎌倉末期 良業物
保存刀剣鑑定書付き

刃長:25.0(八寸三分弱) 反り:やや内反り 元幅:2.31 元重ね:0.56 穴2
平造り、庵棟高い、表のみ腰樋をハバキ下で掻き流す。 鍛え、小板目に杢目、板目交じり、所々流れ心に肌立ち、地沸良く付き、断続的な映り立ち、地鉄概ね良好。 刃文、小互の目乱れ主体で所々角張り、刃縁匂い勝ちに小沸付いて潤み勝ちとなる。 帽子、湾れ調で沸付き、先掃き掛け返る。 茎生ぶ、先栗尻、鑢大筋違い。 銅に金着せハバキ。 時代研磨。 白鞘入り。
【コメント】
重真は、元重の高弟で、一説には弟と云われる刀匠です。年紀作に見る活躍期は、鎌倉最末期の嘉暦二年(一三二七)から南北朝中期の延文四年(一三五九)頃までとされます。
在銘品はほとんど残っていませんが、その作風は、直刃調に角張る互の目を交え、帽子が尖り心、やや肌立つ板目に流れ肌を交えるなど、元重に近似しており、更に青江風を混在させたものを多く見ます。
本作は、大変稀少な在銘正真年紀入り短刀、経年による研ぎ減り等によって、焼き刃は総体的に弱いですが、物打ちから切っ先に掛けて、特徴的な角互の目を主調とした柔らかな刃が見られます。
ただ茎は重要刀剣レベル、よく『茎千両』とも言いますが、ピシッと銘が残っています。下の穴が年紀に掛かっており、一部しか見えませんが、おそらく正中二年(一三二五)でしょう。
前述したように、これまで年紀の上限は、嘉暦二年(一三二七)でしたので、本作の出現によって、その上限が書き換えられました。今後、同工研究の貴重な資料となるでしょう。
これで刀身が健全なら大変なことです。ある意味コレクション価値のすこぶる高い長船重真です。

