剣 生ぶ無銘
Ken:Mumei
古刀 室町末期
刃長:26.7(八寸八分強) 反り:なし 最大幅:2.37 元重ね:0.63 穴1
両鎬造り、鎬高い。 表腰元中央に『君万歳』の陰刻、裏中央に梵字有り。 鍛え、小板目に板目交じり、総体的に流れて良く詰み、地沸厚く付き、地景入り、地鉄良好。 刃文、直刃調で、刃縁小沸良く付いて匂い深く、二重刃、打ちのけ、ほつれ頻りに掛かり、刃中小足入り、金筋、砂流し掛かる。 帽子、直調で沸付き、先掃き掛け焼き詰める。 茎生ぶ、先栗尻、鑢不明。 銅に金着せハバキ。 時代研磨(小サビ有り)。 白鞘入り。
【コメント】
本作は、寸法八寸八分強、生ぶ無銘の剣、地刃の雰囲気、スタイルからして、室町末期頃の作と鑑せられます。
小板目に板目交じり、総体的に流れて良く詰み、直刃調の刃文は、刃縁二重刃、打ちのけ、ほつれ頻りに掛かり、刃中小足入り、金筋、砂流し掛かっています。
すこぶる古い作ではありませんが、その分、地刃健全で大きな欠点もありません。
大和系鍛冶の作で間違いないと思いますが、鑑定に出した場合、『古剣』、『末手掻』、『文珠』辺りでしょうか。
因みに、日刀保鑑定書では、南北朝期を下らない作は『大和古剣』、室町期以降の作は『古剣』とのみ表記されます。
『君万歳』とは、幕末に良く使われる文言で、この刀を所持する者の無事、世の安寧を願う言葉。真面目な守護剣です。