脇差し (金象嵌銘)貞宗
(さだむね)
Wakizashi:Sadamune
古刀・大和 室町期
拵え付き(特別保存刀装具鑑定書付き)
刃長:37.7(一尺二寸四分強) 反り:0.2 元幅:2.98 元幅:0.54 穴3
平造り、庵棟尋常。 表に梵字有り。 鍛え、小板目交じりの柾目が波状に流れ、太い地景を交え、地沸微塵に厚く付き、地鉄概ね精良。 刃文、細直刃調で、刃縁沸匂い良く付いて明るく、刃中葉、小互の目足入り、柔らかな金筋掛かる。 帽子、直調で、先焼き詰める。 茎生ぶ、先切り、鑢切り。 銅に金鍍金変わりハバキ。 時代研磨。 白鞘入り。
埋忠七左一作脇差拵え(全長60.5 江戸後期 鞘 黒の呂塗 こじり、四分一魚子地高彫色絵、七宝紋図 返り角、栗型、瓦金共に素銅研磨地平象嵌、花菱七宝紋図 小柄、金魚子地高彫色絵、群雁図 下げ緒黄土色 柄 親鮫に金茶柄巻き 縁、赤銅魚子地七宝紋図 頭、赤銅平象嵌七宝紋図 目貫、四分一容彫、鹿寿老図 鍔 銘埋忠七左 赤銅研磨地と真鍮地毛彫文様図)付き。
【コメント】
本作は、寸法一尺二寸四分強、小板目交じりの綺麗な柾目が波状に流れ、肌目に沿って太い地景を交えた出来で、一見地鉄は若い感じもしますが、刃が古調で深みのある細やかな働きですので、室町期は下らない作と鑑せられます。最も古く見て、南北朝末期~室町初期まであるかもしれません。
茎には『貞宗』と金象嵌銘がありますが、この出来からして、保昌貞宗の極めかと思います。いわゆる『保昌の柾割れ』と呼ばれる鍛え肌も出ていますので、仮に無銘であれば、保昌若しくは末保昌の極めが妥当と思いますが、現状の場合、『金象嵌不同意』となる可能性もあります。
付属の外装が何とも立派でお洒落な作、金具は埋忠七左(七左衛門)の一作で、鐔には埋忠七左の銘があり、特別保存刀装具鑑定がピシッと付いています。この外装は見逃せません。ロマンがあって楽しめる逸品です。