刀 陸中国宮古住和吉作之
(りくちゅうのくにみやこじゅうかずよしこれをつくる)
平成十六年如月吉日(二〇〇四)
Katana:Rikucyunokuni Miyakoju Kazuyoshi
現代・岩手 拵え入り
刃長:72.8(二尺四寸強) 反り:2.2 元幅:3.34
先幅:2.20 元重ね:0.81 先重ね:0.60 穴1
鎬造り、鎬高く庵棟低い、中切っ先。 表裏共に棒樋をハバキ下で掻き流す。 鍛え、小板目に板目を交え、所々流れて肌立ち、地沸良く付き、地景入り、地鉄良好。 刃文、互の目丁子乱れ主体で、小互の目、小丁子、小乱れを交えて逆掛かり、刃縁匂い勝ちで明るく締まり、細かな飛び焼き掛かり、刃中小足、葉頻りに入る。 帽子、乱れ込んで焼き深く、先僅かに返る。 茎生ぶ、先栗尻、鑢筋違い。 銀ハバキ。 時代研磨(小サビ有り)。
【コメント】
和吉は、辻和宏と言い、岩手県宮古市高浜で鍛刀する刀工です。作刀は、昭和五十年代から見られ、同じ岩手の名工、安本吉光の門人です。師吉光は、初代吉原国家門人で、後に宮入昭平にも学んでいます。
本作は、寸法二尺四寸強、逆丁子乱れ主体の華やかな刃を、匂い深く丹念に焼いています。地刃に細かな鍛え肌も少しありますが、刃が何とも魅力的です。
鞘を払って1,056g、扱い易い重量感で、居合い用としても即使えますが、ピシッと仕上げ研ぎをして、白鞘を新調して頂くのも良いでしょう。
本作は、平成十六年作ですが、七年後の平成二十三年三月十一日、東日本大震災によって、高浜の工房は流されました。しかし、その後直ぐ、同じ宮古市でも赤前に移り、海を望む高台に工房を構えて作刀を続けました。今年で震災から十三年、現在も地元で元気に鍛刀する辻和吉、覇気溢れる逆丁子乱れの佳品です。