脇差し 備前国住長船清光
(びぜんのくにじゅうおさふねきよみつ)
天文二十年二月日(一五四一)
Wakizashi:Bizennokuniju Osafune Kiyomitsu
古刀・備前 室町末期
保存刀剣鑑定書付き
刃長:35.7(一尺一寸八分弱) 反り:0.3 元幅:3.34 元重ね:0.76 穴1
平造り、庵棟低い。 鍛え、板目に杢目、無地風の肌、流れ肌を交え、所々大模様に肌立ち、地沸厚く付き、地景繁く入り、地鉄良好。 刃文、互の目に湾れ交じりで、刃縁良く沸付いてやや沈み勝ちとなり、刃中葉、小足繁く入り、金筋、砂流し頻りに掛かる。 帽子、湾れ調で先小丸風に返る。 茎生ぶ、先栗尻、鑢勝手下がり。 銅に金鍍金ハバキ。 時代研磨。 白鞘入り。
【コメント】
末備前鍛冶で、清光を名乗る者は多数いますが、天文(一五三二~五十五)頃の五郎左衛門尉、その子で、永禄(一五五八~七十)頃の孫右衛門尉清光を筆頭とし、与三左衛門尉、源五郎、彦兵衛尉、孫兵衛尉、弥右衛門等がその代表工とされます。
本作は、寸法一尺一寸八分弱、身幅広く、重ねの厚い豪壮な一振り、にわかには個銘まで特定し難いですが、年紀、銘振り、造り込みからして、源五郎清光に近い感じです。
前述したように源五郎清光は、一派の代表工、天文から永禄頃を活躍期としており、現存作には、本作のような重ねの厚い平脇差しが多く残されています。
地に少し鍛え肌もありますが、板目、杢目が良く練られた末備前らしい地鉄、 刃中金筋、砂流し掛かる乱れ調の刃を丹念に焼いています。力感あふれる魅力的な一振りです。