刀 薩州士国平造之
(さつしゅうしくにひらこれをつくる)
文政八年八月日(一八二五)
Katana:Satsushushi Kunihira
新々刀・薩摩
保存刀剣鑑定書付き
刃長:74.7(二尺四寸七分弱) 反り:1.4 元幅:3.64
先幅:2.67 元重ね:0.74 先重ね:0.56 穴1
鎬造り、鎬尋常庵棟低め、中切っ先やや詰まり気味。 鍛え、板目に杢目を交えてやや肌立ち、地沸厚く付き、地景入り、地鉄良好。 刃文、互の目丁子乱れを主体とし、小互の目、湾れ、尖り風の刃を交え、刃縁匂い勝ちに小沸良く付き、刃中金筋、砂流し掛かり、地に飛び焼き多数交じる。 帽子、湾れ込んで先尖り風掃き掛け返る。 茎生ぶ、先刃上がり栗尻、鑢筋違い。 銅に銀鍍金ハバキ。 時代研磨。 白鞘入り。
【コメント】
国平は、美濃系薩摩鍛冶の伊豆守正房系統に当たります。美濃系薩摩鍛冶は、元を辿れば、尾張の若狭守氏房門人であった丸田備後守氏房が、後に薩摩へ移ったのが始まりです。
国平を銘鑑等で見ると、元文(一七三六~四一)から宝暦(一七五一~六四)頃の刀工とあり、本作の年紀からすると、年代に開きがありますので、同銘後代に当たる国平と鑑せられます。
本作は、寸法二尺四寸七分弱、切っ先力強く延び、元先身幅ガシッとした豪壮な一振りです。
刃に細かな鍛え肌もありますが、この寸法、姿、身幅、重量感は何とも魅力的です。
美濃系薩摩鍛冶の伝統を墨守した薩州国平の典型作です。