刀 (金象嵌銘)了戒
(りょうかい)
Katana:Ryokai
古刀・山城 鎌倉末期 大業物
保存刀剣鑑定書付き
寒山先生鞘書き有り
刃長:76.1(二尺五寸一分) 反り:2.2 元幅:2.87
先幅:1.47 元重ね:0.53 先重ね:0.37 穴3
鎬造り、鎬尋常庵棟低い、小切っ先。 鍛え、小板目に板目、流れ肌を交えて所々強く肌立ち、地斑状の沸映り立ち、地沸良く付き、地景入り、地鉄良好。 刃文、細直刃調で僅かに小互の目を交え、刃縁匂い勝ちに小沸付き、やや沈み勝ちに締まり、所々潤み、刃中葉、小足入る。 帽子、湾れ調で先小丸に返る。 茎大磨り上げ、先栗尻、鑢不明。 銀に金着せハバキ。 時代研磨。 白鞘入り。
【コメント】
本作は、大磨り上げ無銘ながら寸法二尺五寸一分、小切っ先の優美な鎌倉末期の太刀姿を示しています。
金象嵌銘で『了戒』の極めが付されており、昭和三十二年(一九五七)、寒山先生鞘書きにも了戒の極めがあります。
平成十四年の鑑定書では、『太刀(金象嵌銘)了戒』としていますが、寒山先生鞘書きにも『磨上無銘』とあるように、本作は生ぶ茎ではありません。一番下が生ぶ穴かと思われます。ただ姿としては、ほぼ生ぶに近い状態が保たれています。
了戒は、正嘉元年(一二五七)生まれ、来国俊十七歳の時の子と云い、十六歳で出家したとも伝えられています。
作風は、父国俊に近いものがありますが、小板目の肌合いに柾が交じり、白け風の映りが現れること、直刃調の焼き刃が白く潤み勝ちとなるなどの特徴が見られます。中には地に柾目が強く現れ、刃にほつれや二重刃が繁く掛かるなど、一見大和物、又は大和系の二王、波平辺りに見える作もあります。
本作は、細直刃調の穏やかな出来、刃縁匂い勝ちで沈み勝ちに締まり、所々やや白けるような刃の潤みが見られるなど、了戒の一作風が良く示された佳品です。
物打ち付近の刃が弱いですが、横手下からスッと刃が戻って、帽子はオリジナルの刃が完全に残っています。
地刃に鍛え肌もありますが、寸法、姿、雰囲気が良いです。
かの有名な剣豪宮本武蔵をその斬れ味で魅了した大業物鍛冶、渋い味わいの了戒です。