刀 直江志津(無銘)
(みののくになおえしず)
Katana:Naoe Shizu
古刀・美濃 南北朝中期
第五十二回重要刀剣指定品
探山先生鞘書き有り

刃長:70.6(二尺三寸三分) 反り:1.6 元幅:3.27
先幅:2.56 元重ね:0.67 先重ね:0.59 穴2


【コメント】
直江志津(無銘)の重要刀剣、南北朝中期の典型的な太刀姿を示した豪壮な一振り、大志津に比肩する地刃の冴えを見せる名品です。
美濃国には鎌倉最末期に大和国より手掻派の兼氏が来住し、志津(現岐阜県海津市南濃町志津)の地で一派を形成、相州正宗門人と伝わる兼氏は、この地で大和伝に相州伝を加味した美濃伝の基礎を築きました。兼氏死後、その門弟であった兼俊、兼友、兼延、兼次らが、志津から程近い直江(現養老郡養老町直江)の地に移住して鍛刀しました。この地で活躍した兼氏の門弟達を総称して、『直江志津』と呼びます。この頃は南北朝期の争乱、美濃国土岐氏の内紛等によって、刀剣の需要が急速に高まった時期、これらの特需に応えた一派は、大いに繁栄しました。
同派の作風は、師伝を良く継承しており、地鉄は板目に杢目を交えて流れ心に肌立つもの、小板目が流れ心に詰んだのものがあり、刃文は湾れ調に互の目、丁子、角張る刃、矢筈風の刃を交えて、刃中金筋、砂流し掛かる出来を基本としますが、仔細に見ると、焼き頭に丸みを帯びた小互の目、尖り刃の目立つ点が直江志津の特徴とも言えます。
本作は平成十八年(二〇〇六)、第五十二回の重要刀剣指定品、大磨り上げ無銘ながら寸法二尺三寸三分、グーッと延びた切っ先は8㎝強、幅広で元先身幅の差が少い南北朝中期の太刀姿、いわゆる延文貞治姿の典型を示しています。手持ちもしっかりとして地刃すこぶる健全です。
柔らかな柾肌を交えた精良な小板目肌は、細やかな地景を配し、広範囲に渡って白け映り判然と立っており、小互の目乱れを主体とした刃文は、尖り風の刃、頭の丸い互の目、湾れを交えて、刃縁に光りの強い小沸が良く付いて明るく冴え、刃中繊細な金筋、砂流し掛かる出来です。
破綻のない澄み渡った地鉄、焼き刃も染みるような箇所は皆無、穏やかな刃調ですが、地刃の冴え、沸の美しさ、同派最上レベルと鑑せられます。
古い登録証は、昭和二十六年三月の石川県登録、探山先生の鞘書きにも、『同派の特色を顕現する健やかな優品也。』とあるように、地刃健やかで疵なく、地刃の見所も多い、素晴らしい直江志津です。





お買いものガイド
