刀 中島来(無銘)
(なかじまらい)
Katana:Nakajima Rai(Mumei)
古刀・摂津 鎌倉最末期
拵え付き
第二十二回重要刀剣指定品
刃長:71.2(二尺三寸五分弱) 反り:1.8 元幅:3.10
先幅:2.05 元重ね:0.66 先重ね:0.44 穴3
上打ち刀拵え(現代作 全長105センチ 柄長26.5センチ 鞘 金梨子地金蒔絵、雲龍図 縁、こじり、鯉口金塗り 下げ緒卯の花色 柄 親鮫に卯の花柄巻き 縁頭、赤銅魚子地据紋象嵌色絵、雲龍図 目貫、金無垢這龍図 鍔 素銅地鋤出彫鋤出彫、鍔全体に金色絵、表雲龍、裏雨龍図 切羽、素銅に金着せ 拵え用銀無垢ハバキ有り)付き。
【コメント】
雲中島来の重要刀剣、来派の王道とも言える地刃の出来に加え、鎌倉最末期とは思い難い地刃の健やかさを備えた名品です。
来国長は、来国俊の門人で、初め山城、後に摂津国西成郡中島(現在の大阪市東淀川区内)に移住したことから、『中島来』の呼称があります。
銘鑑によると、初二代があり、初代が鎌倉最末期の元徳(一三二九~三一年)頃、二代が南北朝中後期の正平(一三四六~七〇年)、応安(一三六八~七五年)頃としています。
造り込みは、時代の姿を反映し、切っ先身幅の尋常な作から、切っ先の延びた大柄な作まで見られます。現存作に在銘の太刀は極めて少なく、ほぼ寸延び短刀か、小脇差しのみです。
作風は、来派伝統の小沸出来直刃を本位としていますが、中には国俊、国光辺りには見られないような、沸の強い互の目乱れ作、帽子も純然たる小丸ではなく、返りが長いもの、乱れ込んで掃き掛けるもの、焼き詰め風となる場合もあります。鍛えに強い杢目や板目が交じる点も同工の特徴です。
本作は大磨り上げ無銘ながら、寸法二尺三寸五分弱、鎌倉最末期の作と鑑せられる、しなやかで上品な太刀姿を示しており、地刃もすこぶる健全です。
板目に杢目を交えた精良な地鉄は、地沸を微塵に厚く敷き詰め、地色明るく、細かな地景がうねるように繁く入り、直刃調の刃文は、刃縁に沸匂い良く付き、小足、葉頻りに入り、刃中所々柔らかな金筋、砂流し掛かっています。
付属の外装は、金梨子地鞘に雲龍図金蒔絵を施すなど、龍図でまとめた作、時間と費用を掛けてピシッと作ってあり、飾っても楽しめる逸品です。
鎌倉最末期を下らない刀でありながら、刃も元から先まで染みるような箇所は皆無、地にも緩みがありません。姿も美しい来派の王道とも言える直刃の典型作優品、文句なしの中島来です。