刀 (太刀銘)肥前住播磨大掾藤原忠国(初代)
(ひぜんじゅうはりまだいじょうふじわらのただくに)
Katana:Hizenju Harimadaijo Fujiwarano Tadakuni
新刀・肥前 江戸前期
業物 拵え付き
第六十四回重要刀剣指定品
探山先生鞘書き有り
第七十回刀剣研磨技術発表会薫山賞(特賞)受賞作
刃長:70.9(二尺三寸四分弱) 反り:1.2 元幅:2.97
先幅:2.11 元重ね:0.66 先重ね:0.51 穴2
打ち刀拵え(江戸後期 全長102センチ 鞘 焦げ茶変わり塗り鞘 鯉口、栗型、こじり黒塗り 下げ緒黒 柄 親鮫に黒柄巻き 縁頭、赤銅研磨地、据紋象嵌色絵、桐の図 目貫、真鍮地容彫、這龍図 鍔 鉄研磨地変わり形小透、鋤出彫毛彫、据え紋象嵌色絵、露草に鈴虫図)付き。
【コメント】
肥前播磨大掾忠国(初代)の重要刀剣、肥前丁子の最高傑作、刀剣研磨技術発表会にて薫山賞(特賞)受賞の最上研磨が施された一振りです。
初代播磨大掾忠国は、橋本六郎左衛門と称し、慶長三年(一五九八年)生まれ、初代忠吉門人で協力者でもあった、相右衛門尉廣貞(後の吉家)の次男で、兄に国廣がいます。初め廣則と銘じ、寛永十一年(一六三四年)、三十七歳の頃に播磨大掾を受領すると共に忠国へ改銘、鍋島藩の支藩、小城(おぎ)藩の抱え工となり、晩年は播磨守に転じ、最晩年には入道して休鉄とも銘じたと云います。元禄四年(一六九一年)、九十四歳にて没。
作は寛永から天和頃まで、伝統的な肥前直刃もありますが、沸出来の丁子主体の乱れ刃、多種の刃を交えた互の目乱れを得意としています。
本作は、寸法二尺三寸四分弱、反りやや浅めに付いたしなやかなで上品な一振り、豪壮無比な姿ではありませんが、流石は新刀重要、完璧なまでの地刃の健全さが保たれています。
年紀はありませんが、銘振りからして、寛文~延宝頃の作と鑑せられます。
互の目丁子乱れを主体とした刃文は、大房丁子、重花丁子を交えて華やかに焼き、刃中長い互の目足、葉頻りに入り、柔らかな金筋、砂流し掛かり、匂い口明るく冴えて、地には飛び焼きが多数見られます。地鉄も一点の緩みも見せない精良な小板目肌がビシッと整っています。
それもそのはず、本作は平成二十九年度、第七十回刀剣研磨技術発表会にて、薫山賞(特賞)を受賞した一振り、岐阜関の名人、各務(かがみ)弦太による最上研磨が施されています。各務氏は、同発表会では毎年受賞を果たす今や若手の筆頭であり、受賞時は二十八歳でした。本作はその翌年に第六十四回重要刀剣に指定されています。
同工の作でこれ程素晴らしいのは見たことがありません。茎の状態、銘振りも見事、探山先生鞘書きにも、『本作は細緻なる小糠状の地鉄に、闊達な足長丁子乱れを焼き、出来宜しく健体、出色也。』とあります。
付属の外装も大変立派な作で言うことなしです。
播磨大掾忠国(初代)の真骨頂である肥前丁子の典型且つ代表作、肥前刀乱れ刃をお探しならこれで決まりです。