刀 備前三郎国宗(無銘)
(びぜんさぶろうくにむね)
Katana:Bizen Saburo Kunimune
古刀・備前 鎌倉中期
最上作
特別保存刀剣鑑定書付き
探山先生鞘書き有り
刃長:75.0(二尺四寸八分弱) 反り:2.5 元幅:3.05
先幅:1.90 元重ね:0.64 先重ね:0.36 穴3
【コメント】
最上作備前三郎国宗の美しく力強い長尺刀、『備前三郎の白染み』など、同工らしい特徴を随所に示した鎌倉中期の備前太刀です。
国宗は備前国鍛冶でありながら、長船派とはその系統を異にする、備前直宗派に属する刀工で、備前国新田庄和気に住したと云います。初祖直宗を祖父とし、その子国真の三男であったことから、『備前三郎』と称しました。古伝によると、後に鎌倉幕府執権、北条時頼の招聘によって鎌倉に移住し、福岡一文字助真、粟田口国綱と共に、相州鍛冶の先駆者の一人となったと伝わり、また新藤五国光の父または師とも云います。
活躍期は鎌倉中期、長船派の祖、長船光忠などとほぼ同時期で、国宝四口、重要文化財六口、重要美術品十八口を数える名工です。
造り込みは、身幅しっかりとした雄壮な太刀姿から、やや細身の優しい太刀姿まで見られ、小太刀もあります。作風も直刃調の穏やかな刃文から丁字刃まで、その作域は広く、特に乱れ刃の作には、先天的に刃が潤むように白ける箇所が見られますが、これを古来より『備前三郎の白染み』と称し、同工の見所としています。
本作は大磨り上げながら、寸法二尺四寸八分弱、優美さと力強さが混在する 美しい鎌倉太刀で、総体的に沈み勝ちに詰んだ精良な小板目は、板目、流れ肌が所々細かに肌立ち、平地には広範囲に渡って乱れ映りが鮮明に立っています。
丁子、小丁子、互の目、小互の目、角張った刃を交えた刃文は、総体的に乱れがやや腰開き気味となり、匂い勝ちに小沸付き、刃中足、葉が繁く入り、柔らかな金筋、砂流し掛かり、所々焼き頭付近に細かな飛び焼きが点在しています。
角張った刃が交じり、乱れがやや腰開きとなり、細かな飛び焼きが見られる辺りに同工らしい特徴が出ており、部分的に刃が白々と潤んだ、いわゆる『白染み』も見受けられます。
研ぎ減り等によって、後天的に刃が染みる箇所もありますが、長寸で力強い姿、焼きが華やかな部分の美しさ、鮮やかな映りを見せる鎌倉中期の備前太刀、最上作備前三郎国宗です。醸し出す雰囲気違います、これは楽しんで頂ける一振りです。