刀 無銘(備州長船秀光)
(びしゅうおさふねひでみつ)
Katana:Mumei(Hidemitsu)
古刀・備前 南北朝中期 最上大業物
第六十回重要刀剣指定品

刃長:73.3(二尺四寸一分半) 反り:2.0 元幅:3.00
先幅:2.20 元重ね:0.71 先重ね:0.51 穴3


【コメント】
最上大業物長船秀光(無銘)の重要刀剣、南北朝中期に於ける備前小反り鍛冶の最高峰です。
秀光は備前兼光系門人と云われ、いわゆる小反り一派に属します。最上大業物鍛冶としても有名です。小反り一派は、南北朝後期から室町前期に掛けて活躍した長船兼光系門人の呼称で、秀光を筆頭に家光、包光、経光、利光、時光、直光、安光、保光などがいます。秀光は同銘が四代に及んでおり、初代を建武とし、以降応安、至徳、応永と続きます。
本作は寸法二尺四寸二分、切っ先伸びやかで元先身幅の差が少ない雄壮なる南北朝太刀姿を示しており、図譜にも記載のあるように、南北朝中期応安頃の秀光に該当します。細やかに肌立つ杢目交じりの板目肌は、地沸良く付いて、細かな地景良く入り、ほのかに乱れ映り立つ最上の備前鍛えを示しています。互の目に角張る刃、尖り風の刃が目立つ小沸出来の小丁字目乱れを上品に焼いており、所々逆掛かる刃も交じります。変化に富んだ闊達な刃文は、匂い口がフワーッと明るく見事です。逆心のある角張る刃を主調に互の目、尖り風の丁字を織り交ぜる辺りは兼光風ですが、兼光の乱れの間隔がゆったりと湾れ調になるのに対し、秀光は乱れの間隔が詰まってくるのが特徴と言えるでしょう。
寸法たっぷりで地刃健全、刀にしっかりとした重みがあります。これ程状態の良い南北朝期の備前太刀はまずありません。同派並びに同工の代表作と断言出来る優品です。






