刀 銘:備陽長船住横山俊左衛門尉祐包作
(びようおさふねじゅう
よこやましゅんざえもんのじょうすけかねさく)
慶應三年八月日
於天満宮神前鍛之 友成五十八代孫
Katana:BiyoosafunejuYokoyamasyunzaemonnojoSukekaneSaku
新々刀・備前 江戸末期
特別保存刀剣鑑定書付き
刃長:73.0(二尺四寸一分弱) 反り:2.0 元幅:3.26
先幅:2.06 元重ね:0.79 先重ね:0.52 穴1
【コメント】
幕末備前長船鍛冶の代表工、横山俊左衛門尉祐包による希少な俗名入りの一振り、天満宮神前鍛えによる同工最高傑作奉納刀です。 横山祐包は俊吉と言い、守時吉郎兵衛の次男として生まれ、俊左衛門尉と称しました。後に伊勢守祐平の長男、祐盛の養子となって横山祐平家を継承した、江戸期に於ける長船鍛冶の掉尾を飾るに相応しい名工です。『友成五十八代孫』と茎に刻むは、平安中期より九百年余り続いてきた備前鍛冶の一員であるという自負の表れです。 本作は地沸が良く付いた強靱な小板目肌が地景を交えて美しく整っており、所々板目肌が流れています。スーッと長い直調の焼き出しから、同工の真骨頂とも言える、匂い口の締まった大房交じりの互の目丁字乱れを匂い深く華やかに焼いています。刃がフワーッととにかく明るく、まるで絵画を見るかのような美しさです。寸法長く、伸びやかな太刀姿で、身幅、重ねもしっかりとしています。それもその筈、長船郷天満宮神前にて謹作された注文打ちによる入念作です。普段見る作とは一線を画する完璧な地刃の出来と言っても過言ではないと思います。大変珍しく俗名を切り添えていることからも、余程の自信作であることも分かります。絶対の自信を持ってお薦め出来る名品です。