薙刀 無銘(ホソ川の刻印のみ)(細川正義)
(ほそかわまさよし)
Naginata:Mumei(Hosokawa Masayoshi)
新々刀・武蔵 江戸末期
特別保存刀剣鑑定書付き
探山先生鞘書き有り

刃長:56.4(一尺八寸六分強) 反り:僅か 元幅:3.10 元重ね:0.81 穴2(内1忍)


【コメント】
正義は、主税佐(ちからのすけ)と称し、天明六年、細川良助の子として下野国栃木鹿沼に生まれ、文化二年、江戸へ出て水心子正秀門人となりました。初銘を正方、文化六年頃から守秀、文政三年に正義と改めています。文政五年、備前国津山藩松平家に仕え、『作陽幕下士』と称し、天保十二年からは、藩命により、江戸本所深川の松平家下屋敷にて鍛刀を行っています。活躍期は、享和の初め頃から安政五年まで、同年七十三歳にて没。
師が提唱した、『復古造法論』を良く実践した事実上の後継者であり、七歳年配の大慶直胤と共に、水心子門下の双璧を成した名工です。正義門からは、実子である正守、忠義、正長を始め、清水久義、左行秀、城慶子正明、岩井鬼晋麿正俊、川井久幸、中山一貫斎義弘など、数々の名工が輩出されています。
作風は、備前伝、相州伝を得意とし、稀に大和伝の柾目鍛えもあります。
銘は、初期は『細川正方』、『細川守秀』、正義改銘後は、『作陽幕下士細川正義』が大半で、茎尻に刻まれる刻印は、師の『日天』同様、贋作防止のためであり、『ホソ川』の字を意匠化したものです。
本作は、寸法一尺八寸六分強、切っ先両刃風の薙刀、地刃健全な佳品です。
茎を見ると、『ホソ川』の刻印のみにもかかわらず、『細川正義』の極めで特別保存鑑定まで付いています。
探山先生鞘書きにも、『刻印のみで銘文を切らなかったのは、献上品若しくは自負心の表れのどちらかであろう。同工が得意とする相州伝の作域を示し、出来宜しい。』とあります。
無銘極めに付いて、荒く太く鮮明な大筋違いの化粧鑢と『ホソ川』の刻印は、細川一門であれば皆同様に切ります。本作はあくまで新々刀無銘ですので、通常であれば、正義ではなく、息子の正守、忠義、正長などに極まり、仮に正義であっても保存鑑定までとするのが定石です。しかしながら本作に限っては、細川正義で極め且つ特別保存鑑定まで付けています。裏を返せば、本作が正義の相州伝として、最上の出来映えであるという証明にもなるでしょう。
同工会心の一振り、刃中の沸の変化は、すこぶる烈しく、見応え十分です。




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