刀 井上和泉守国貞(井上真改前銘)
(いのうえいずみのかみくにさだ)
(菊紋)寛文十一年二月日(一六七一)
Katana:Inoue Izuminokami Kunisada
新刀・摂津 江戸前期 最上作
特別保存刀剣鑑定書付き

刃長:75.5(二尺四寸九分強) 反り:0.8 元幅:3.17
先幅:2.09 元重ね:0.68 先重ね:0.46 穴1


【コメント】
真改は、寛永七年、初代国貞の次男として生まれました。新刀最上作、越前守助廣と双璧を成す大坂新刀鍛冶筆頭で、重要文化財二口、重要美術品五口を数え、世上『大坂正宗』とも呼ばれた名工です。
真改の銘の変遷は、『和泉守藤原国貞』、『和泉守国貞』、『井上和泉守国貞』、『井上真改』の四つに大別されます。
慶安五年五月に初代が没するまでが『和泉守藤原国貞』銘、いわゆる代作代銘時期、初代の没後、承応二年八月からは『和泉守国貞』銘、万治四年二月頃からは『井上和泉守国貞』銘となり、裏に『菊紋』を切るようになります。寛文十二年八月からは『井上真改』銘となり、天和二年十一月に五十三歳で没しています。
作風は、綺麗な小板目、板目肌に、時折流れ柾の交じる地鉄で、上品に肌立つものと、沈み勝ちに梨子地の如く詰んだものがあります。
刃文は、中直刃調に互の目、湾れを交え、最初期作に於いては、親国貞風の頭の丸い互の目乱れを主調とした作、『井上和泉守国貞』銘となった寛文の初め頃からは、互の目乱れに湾れ交じりの作、寛文七、八年頃からは、同工特有の広直刃調で刃縁が明るく深みのある焼き刃が見られるようになります。
本作は寛文十一年、真改四十二歳の頃の作、いわゆる『真改国貞銘』の一振り、寸法二尺四寸九分強、切っ先詰まって反り浅く付いた典型的な寛文新刀スタイルで、地刃もすこぶる健全です。
湾れ乱れ調に互の目交じりの焼き刃は、刃縁荒沸付き、匂い深く明るく冴え、二重刃風の沸筋頻りに掛かり、刃中所々沸裂け状を呈し、金筋、砂流しが掛かっています。
沸の妙味が存分に示された刃縁、刃中の変化は、新刀期に於いて同工の独壇場であり、また同工が範としたのが古作江義弘であったことを確信するものがあります。
新刀最上工、井上真改壮年期の覇気みなぎる自信作です。



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