短刀　無銘(伝来国俊)
(でんらいくにとし)

Tanto:Mumei(Den Rai Kunitosi)

古刀・山城　鎌倉末期　最上作
拵え付き(目貫に保存刀装具鑑定書付き)
特別保存刀剣鑑定書付き

刃長：28.6(九寸四分強)　反り：僅かに内反り　元幅：2.40　元重ね：0.52　穴2

平造り、庵棟低め。　表は八幡大菩薩、裏は素剣の彫り有り。　鍛え、板目肌やや沈み勝ちに良く詰み、地沸厚く付き、細かな地景入り、地鉄概ね精良。　刃文、細直刃調で僅かにほつれ、小乱れを交え、刃縁小沸付き、匂い深く潤み勝ちに明るく、刃中用、小足、金線入る。　帽子、直調で先僅かに掃き掛け小丸に返る。　茎生ぶ、先栗尻、鑢切り。　銅に銀着せハバキ。　時代研磨。　白鞘入り。
合口拵え(現代作　全長43.5　鞘　黒本漆塗　下げ緒金茶　しとどめ銀燻　柄　出し鮫鞘　親鮫あり　目貫、金無垢獅子図　無銘後藤　目釘角)付き。

【コメント】
本作は、生ぶ無銘ながら、『伝来国俊』と極められた佳品です。
来国俊は、仁治二年(一二四一)生まれ、国行の子と伝わり、国宝五口、重要文化財十三口、重要美術品三十四口の指定品を数えるなど、名実共に同派の筆頭です。同工には優美な太刀の他、短刀にも傑作が多く、ほぼ同時代の粟田口国吉、藤四郎吉光、新藤五国光らと並び立つ短刀の名手として、数々の名作を残しています。寸法九寸四分強、同工の短刀は、通常八寸前後が大半、稀に六寸、九寸台の作もあり、最長で九寸八分、『来国俊　永仁五年二月日(一二九七)』と銘のある特別重要刀剣指定の短刀が残されています。そういう意味では、本作は長い部類に入ります。
板目肌やや沈み勝ちに良く詰んだ綺麗な地鉄は、細かな地景入り、細直刃調の焼き刃は、小乱れを交えて僅かにほつれ、刃縁美しい小沸付いて匂い深く、刃中葉、小足、金筋が入っています。帽子も直調で、先僅かに掃き掛けて小丸に返るなど、同工の典型的な作域を示しており、表には『八幡大菩薩』、裏には素剣の彫りがあります。
付属の外装は、オリジナルの新品合口拵え、金無垢獅子目貫は、『無銘(後藤)』で保存刀装具鑑定書が付いていますので、目貫のみでもかなりの価格です。
来国俊が同派筆頭鍛冶としての実力を示した格調高い短刀、来物王道の地鉄、直刃を存分にお楽しみ下さい。