槍 相模守藤原政常(初代)
(さがみのかみふじわらのまさつね)


Yari:Sagaminokami Fujiwarano Masatsune



新刀・尾張 江戸初期 合口拵え入り
保存刀剣鑑定書付き




刃長:18.2(六寸) 反り:なし 元幅:2.09 元重ね:0.86 穴なし



平三角造り、変わり七角塩首。 裏に棒樋を丸留める。 鍛え、柾流れ主体、良く詰んで所々肌立ち、地色明るく、地沸良く付き、地鉄良好。 刃文、直湾れ調で、刃沸良く付き、刃縁にほつれ、二重刃風の沸筋、刃中金筋、砂流し頻りに掛かり、匂い口明るい。 帽子、直調で沸付き、先掃き掛け返る。 茎磨り上げ、先切り、鑢筋違い。 真鍮ハバキ。 時代研磨。
合口拵え(幕末期 全長35.5センチ 鞘 古竹にヤマタノオロチ退治の図を彫り、骨、貝、石を嵌め込む 銘一虎とあり 栗型、骨、彫あり、竹林に人物図 鯉口、こじり黒塗り 下げ緒、茶と萌黄色の蛸足 柄 緑柄巻き 目貫、赤銅容彫色絵、武具の図 縁黒塗り、頭、骨、竹林に僧侶と尼僧の図)入り。



【コメント】
初代政常は、天文五年、美濃国納土(のうど) (現岐阜県関市千年町付近)に生まれ、 納土左助、太郎助と称しました。関七流奈良派兼常の末流で、初めは兼常と銘じています。永禄十年、尾張国春日井郡小牧村(現愛知県小牧市)に分家独立、天正十九年、清須領主関白豊臣秀次の斡旋により『相模守』を受領、尾張小牧領主池田輝政より『政』の字を賜り、『政常』へ改銘。飛騨守氏房、伯耆守信高と共に、尾張新刀鍛冶の筆頭として活躍、以降同銘が幕末まで十代に渡ります。慶長五年、松平忠吉(家康四男)が清須城主になると、それに従って清須へ移住、慶長十二年には二代に家督を譲るも、慶長十四年に早逝したため、復帰して再度鏨を振るいました。以後は『相模守藤原政常入道』と銘じています。元和五年、八十四歳没。
作風は、寸長めの短刀、槍、薙刀、小柄小刀の作が多く、刀は極稀です。また『槍の政常一派』と言われる程、一派皆槍の作刀が多く見られますが、特に初代は新刀中の名人と評され、天正十二年、小牧長久手の戦いで、徳川家康に槍百振りを献上したのは有名な話。
地鉄は梨子地風に詰んだものと、柾掛かった板目があり、刃文は、直刃、湾れ、沸出来の直刃ほつれ、匂い出来の直刃、関風互の目乱れもあります。年紀作はほとんど見られません。
本作は、初代政常の平三角槍、寸法六寸、現在は茎尻を詰めて短刀拵えに収められている何ともお洒落な逸品、年紀はありませんが、入道銘ではありませんので、慶長十四年以前の作になります。
柾流れ主体の地鉄は良く詰んで所々肌立ち、直湾れ調の刃文は、刃沸良く付き、刃縁にほつれ、二重刃風の沸筋、刃中金筋、砂流しが頻りに掛かるなど、初代の典型的な作風を示しています。
幕末期と鑑せられる付属の合口拵えは、大変手の込んだ珍しい作、古竹に八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治する須佐之男命(スサノオノミコト)が彫られ、所々骨、石、貝を嵌め込むなど見事な出来映えで楽しめます。
初代政常の典型作の槍にこの外装、これを見逃しては悔いが残ります。












【売約済】商品番号:P-564 槍 相模守藤原政常(初代) 合口拵え入り 保存刀剣鑑定書付き

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