刀 備州長船経家
(びしゅうおさふねつねいえ)
文明二年八月日(一四七〇)
Katana:Bishu Osafune Tsuneie
古刀・備前 室町中期
拵え付き(特別貴重小道具認定書付き)
特別保存刀剣鑑定書及び特別貴重刀剣認定書付き
刃長:66.7(二尺二寸) 反り:2.2 元幅:3.07
先幅:2.06 元重ね:0.79 先重ね:0.51 穴1
打ち刀拵え(近代作 全長97 柄長22.3 鞘 黒の呂塗一分刻み 下げ緒、卯の花と紫の龍図 柄 鮫に黒塗、裏革深緑小花散らし模様柄巻き 縁頭、銘後藤一乗門 大谷一約花押 赤銅魚子地高彫色絵、笹に蟹図 目貫、赤銅容彫色絵、笹に蟹図 鍔 鉄地菊花形透)付き。
【コメント】
経家は、盛光、康光、師光、家助らと共に応永備前を代表する名工、元々畠田一派の流れを汲む刀工と云い、銘鑑等によると、鎌倉末期から室町末期まで同銘が数代に渡っていますが、現存作はほぼ室町期以降の作です。
作風は、応永杢の目立つ地鉄に、腰開きの互の目丁子乱れを焼いた典型的な応永備前風を示すもの、やや穏やかな直刃調の刃を焼いたものがあり、中には応永杢の目立たない良く詰んだものもあります。
本作は、文明二年作、四代経家と鑑せられる佳品です。
寸法二尺二寸、丸棟で先反りやや深めに付き、身幅、重ねしっかりとして地刃健全、大きな疵なく、刀がズシッと重いです。
また寸法に比して茎が短いなど、室町中後期の特色ある打刀姿を示しています。この時代には、二尺前後で片手の抜き打ちに適した造り込みが流行しました。
板目に杢目、流れ心の肌を交えた地鉄は、地景繁く入り、所々大模様うねるように肌立ち、互の目丁子乱れ主体の刃は、刃縁匂い勝ちに小沸付いて締まり、刃中葉、小足入り、繊細な金筋、砂流し掛かるなど、少し茎が荒れている箇所もありますが、地刃の見所多い、真面目な作です。
昭和二十六年の古い登録証は、福岡県登録、良い外装も付いて内外楽しめる逸品です。