大脇差し(小太刀)　長船重真(無銘)
(おさふねしげざね)

Ohwakizashi:Osafune Shigezane

古刀・備前　南北朝最初期　拵え付き
特別保存刀剣鑑定書付き
探山先生鞘書き有り

刃長：59.8(一尺九寸七分強)　反り：1.4　元幅：2.90
先幅：1.87　元重ね：0.77　先重ね：0.48　穴４(内２埋)

鎬造り、鎬高く三ッ棟低い、中切っ先。　表裏共に棒樋を掻き通す。　鍛え、板目に杢目交じり、所々流れて肌立ち、地色やや黒み勝ち、地沸厚く付き、地鉄良好。　刃文、直湾れ調の刃取りで、小互の目、小丁子、やや角張る刃を交え、刃縁匂い勝ちでやや沈み心に締まり、刃中小足、葉良く入る。　帽子、湾れ込んで先尖り気味に返る。　茎ほぼ生ぶ、先栗尻、鑢切り。　銅に金着せハバキ。　時代研磨(棟に小サビ有り)。　白鞘入り。半太刀拵え(幕末期　全長94　柄長23.7　鞘、柄、鍔共に真鍮地　鞘は丸に葵紋唐草模様図　打ち出し　こじり、鯉口、縁頭、唐草模様毛彫　鍔　真鍮三枚合わせ、唐草模様毛彫)付き。　

【コメント】
重真は、元重の高弟で、一説には弟と云われる刀匠です。年紀作に見る活躍期は、鎌倉最末期の嘉暦二年(一三二七)から南北朝中期の延文四年(一三五九)頃までとされます。
在銘品はほとんど残っていませんが、その作風は、直刃調に角張る互の目を交え、帽子は尖り心、やや肌立つ板目に流れ肌を交えるなど、元重に近似しています。
本作は、『長船重真』極めの地刃健全な佳品、寸法一尺九寸七分強で、大脇差しになりますが、探山先生鞘書きにあるように、元来小太刀であり、ほんの僅か磨り上がっている程度で、ほぼ生ぶの姿を留めています。加えて鞘書きには、南北朝最初期建武(一三三四～三六)頃の作とあります。
直湾れ調の刃取りで、小互の目、小丁子、やや角張る刃を交えた刃文は、刃縁匂い勝ちでやや沈み心に締まり、刃中小足、葉良く入り、帽子も湾れ込んで先尖り気味に返るなど、元重一派の一作風が良く示されており、中でも刃文が総体的に小模様で、角張る刃が目立つ点に重真らしさが窺えます。
付属の外装は、総金具真鍮地葵紋散らし鞘で、三つ葉葵、唐草を巧みに打ち出してあり、鐔も真鍮三枚合わせとなるなど、内外存分にお楽しみ頂ける長船重真の小太刀です。