脇差し 相州廣正(無銘)
(そうしゅうひろまさ)
Wakizashi:Soshu Hiromasa
古刀・相模 室町後期
拵え付き(特別貴重小道具認定書付き)
保存刀剣鑑定書付き
刃長:39.0(一尺二寸九分弱) 反り:0.9 元幅:3.09 元重ね:0.47 穴4(内2埋)
上合口拵え(江戸後期 全長56.3 鞘 黒石目地に僅かに螺鈿散し鞘、松葉散し図 小柄、鉄地横毛彫金象嵌、松葉菱図 下げ緒、鉄紺と卯の花の繁打組下げ緒 柄 親鮫に薄茶蛇腹巻 目貫、赤銅容彫色絵、鳳凰図 こじり、栗型、瓦金、鯉口、縁頭、同作同図 四分一石目地鋤出彫、網代組に桐花図)付き。
【コメント】
相州廣正は、銘鑑等では、初代を南北朝中期とし、廣光や秋廣と同時代の刀工と伝えていますが、在銘確実な作は皆無です。以降二代を永和、三代を応永、四代を文安、五代を文明、六代を永正頃とし、現存作は室町期のものが大半です。
作風は、廣光や秋廣同様に互の目丁子を主体とした華やかな焼き刃、皆焼刃を本位とし、倶利伽羅、三鈷柄附き剣等々、『相州彫り』と称される見事な彫り物もまま見られます。幕末の名彫り師、本荘義胤が手本としたのはこれらの彫り物です。
本作は、少し磨り上げながら、寸法一尺二寸八分、『相州廣正』と極められた平脇差し、スタイル、地刃の雰囲気からして、文明(一四六九~八七)頃の作と鑑せられます。
小互の目乱れ主体に多種の刃を交えた焼き刃は、地に飛び焼き、島状の刃を多数交え、帽子も返り長く、刃区付近まで乱れ調に焼き下げており、それらが渾然一体となって烈しい皆焼状を呈しています。
地に少し鍛え肌もありますが、刃は総体的に健全で、雰囲気の良い外装付きです。 この期の典型的な相州物の皆焼を存分にお楽しみ頂ける佳品です。