大脇差し (葵紋)康継以南蛮鉄(江戸三代)
於武州江戸作之
(やすつぐなんばんてつをもって
ぶしゅうえどにおいてこれをつくる)
Ohwakizashi:Yasutsugu Nanbantetsu Bushu Edo
新刀・武蔵 江戸前期 業物
特別保存刀剣鑑定書付き
刃長:59.6(一尺九寸七分弱) 反り:0.9 元幅:3.20
先幅:2.16 元重ね:0.76 先重ね:0.54 穴1
【コメント】
康継一門は、代々徳川将軍家の抱え鍛冶であり、当時の刀鍛冶としては最高の地位にあった名門です。三代目継承の際に、江戸と越前に別れ、江戸は十二代、越前は九代に渡り、幕末明治に至っています。
本工は江戸三代、二代の嫡子、越前三代(二代の弟)の甥に当たり、下坂右馬助、後に市之丞と称しました。寛永七年生まれ、活躍期は寛文から延宝頃、年紀作は殆ど見られません。
寸法一尺九寸七分弱の大脇差し、反り浅めに付いた寛文新刀スタイルで、地刃健全です。
地沸が微塵に厚く付いた精良な地鉄は、地色明るく、細やかな地景頻りに入り、湾れ乱れ調の刃取りで、刃中互の目足、葉が間断なく入る焼き刃は、刃縁明るく冴えるなど、全てに於いて初代風を継承した佳品で、地刃は大変良く出来ています。
これで寸法が二尺四、五寸もあれば、間違いなく重要候補筆頭になるでしょう。
葵紋がピシッと入ってスカッと気持ちの良い康継、この寸法は特注の入念作、江戸三代は意外に出ません。狙い目です。