刀　肥前国忠吉(八代)
(太刀銘)一肥前国出羽守藤原行廣(二代)
(いちひぜんのくにでわのかみふじわらのゆきひろ)

Katana:Ichi Hizennokuni Dewanokami Fujiwarano Yukihiro

新刀・肥前　江戸前期　拵え付き
特別保存刀剣鑑定書付き

刃長：71.4(二尺三寸六分弱)　反り：1.6　元幅：3.17
先幅：2.15　元重ね：0.72　先重ね：0.56　穴1

鎬造り、鎬高め庵棟尋常、中切っ先。　鍛え、小板目に小杢目を交えて良く詰み、地沸微塵に厚く付き、細かな地景繁く入り、地鉄精良。　刃文、互の目乱れ主体で、小互の目、丁子、角張った刃を交え、刃縁小沸良く付いて匂い深く明るく冴え、刃中小足、葉が繁く入る。　帽子、湾れ込んで焼き深く、先掃き掛け返る。　茎生ぶ、先栗尻、鑢筋違い。　銅に金着せ二重ハバキ。　時代研磨。　白鞘入り。
打ち刀拵え(現代　全長103　柄長25.5　鞘　黒の呂塗　下げ緒、茶　柄　親鮫に黒柄巻　金具類、現代作　縁頭、肥後風銀地唐草模様図　目貫、銀地水草図　鍔、鉄地変形、三日月武蔵野図)付き。
　

【コメント】
二代行廣は、初代の実子で藤馬丞と称し、初代存命中は行永と切っています。初代が没した翌年の天和三年(一六八三)、『出羽守』を受領、初代同様茎に『一』を切り、『肥前一文字』と称されたことからも分かるように、古作一文字に範を取った華麗な乱れ刃を得意としました。伝統の肥前直刃も焼きますが、乱れ刃の作が多く残されています。
生没年は諸説あり、一説によると、比較的長寿で宝永(一七〇四～一一年)頃まで鍛刀したと云いますが、現存作は初代に比べ僅少です。
本作は、寸法二尺三寸六分弱、身幅、重ねしっかりとした造り込みで、地刃すこぶる健全、ズシッとした重量感があります。
年紀はありませんが、茎仕立て、銘振りからして、最良期とされる元禄頃の作と鑑せられます。
良く詰んだ精良な小糠肌、互の目乱れ主体で、小互の目、丁子、角張った刃を交えた焼き刃は、刃縁明るく、刃中小足、葉が繁く入るなど、地刃も大変良く冴えています。
茎も綺麗で銘もピシッと決まっており、特に欠点が見当たりません。
初代より『肥前一文字』の名を継承した二代行廣の典型乱れ刃、出来の良い肥前刀乱れ刃をお探しならば、これしかありません。